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人生変わった。標高3500mの山奥インド・レーでヴィパッサナ瞑想に挑戦!

人生変わった。標高3500mの山奥インド・レーでヴィパッサナ瞑想に挑戦!

2016年8月、インドのラダック地方・レーでヴィパッサナ瞑想を体験しました。果たして人生は変わったのか!?

ヴィパッサナ瞑想とは?

lgf01a201407032300(by GATAG 201407032300 )

必ずと言って良いほどインドの旅人の間で話題になる「ヴィパッサナ瞑想」。ブッタが悟りを開いた方法とされるこの瞑想法を世界中にある瞑想センターで学ぶことができます。

コース中の10日間にわたって人と目を合わすこと、触れること、話すこと、全ての娯楽(読書、メモ、ジョギング等含む)、自慰行為、殺生、喫煙・飲酒・薬物の摂取等が禁じられています。

基本的に期間中は瞑想と食事と睡眠しかできない。と考えて間違いではありません。

スケジュールは下記の通り。瞑想は1日10時間程度あります。朝の2時間の瞑想を除いて、瞑想は約1時間ごとに5分の休憩を挟んで行われました。なお夕食の時間はありません。ミルクティーとフルーツ、お菓子が夕食の代わりとなります。

【コース中のスケジュール】
4:00 起床
4:30-6:30 瞑想(2時間)
6:30-8:00 朝食と休憩
8:00-11:00 瞑想(3時間)
11:00-12:00 昼食と休憩
12:00-13:00 休憩、指導者への質問(任意)
13:00-17:00 瞑想(4時間)
17:00-18:00 ティータイム
18:00-19:00 瞑想(1時間)
19:00-20:00 ビデオ鑑賞
20:00-21:00 瞑想(1時間)
21:00-21:30 指導者への質問(任意)
21:30 就寝

※詳しいヴィパッサナー瞑想の内容は日本語の公式サイトでご確認ください。

レーのヴィパッサナ瞑想センターについて

P1110506インド国内にはなんと75か所ものヴィパッサナ瞑想センターがあります。私がヴィパッサナ瞑想の場所としてレーを選んだのは理由は主に⑴気候と⑵景色です。

⑴気候

レーを中心都市とするラダック地方は標高3000-7000m級の険しい山が連なるヒマラヤのエリアです。そのため夏(6~9月)でも雨が降らず、涼しい気候です。暖房冷房、ファン要らず!常に快適な状態で瞑想が行えます。蚊もいません!

⑵景色

レーの瞑想センターは360°山に囲まれ、車が一台も通らない極めて静かな場所にあります。7000mを超えるストクの雪山、朝日、夕日星空、虹など、もう自然が素晴らしすぎて何度も泣きそうになりました。

ただジャイプルやブッタガヤでヴィパッサナ瞑想を経験した旅人から話を聞く限り、レーの瞑想センターの規模は小さく、設備はあまり良いとは言えません。対応言語は英語かヒンディー語のみ。シングルルームは無い上に、個人瞑想の時間もありません。

実際に10日間のヴィパッサナ瞑想を体験してみた。

「ヴィパッサナ瞑想をしたら人生が変わった。」なんてことをネットなどでよく見かけますね。しかし百聞は一見に如かず。覚えている範囲でコースの様子と感想をリポートします!超辛かった!

ちなみに私は心身共に健康な普通の成人男性です。写真は10日目と11日目に撮影。

【注意】ヴィパッサナ瞑想における感想・効果は個人によって大きく異なります。参加を考えている方はこの記事をあくまで参考程度にとどめておくことを強くお勧めします。

0日目

IMG20160824173153ヴィパッサナ瞑想センターはレー市内から10km程離れたサブー(Sabu)という小さな村にある。夕方17時にローカルバスでサブーに向かい途中下車。

標高が3500m程あるレーでは酸素濃度が平地の半分しかない。息を切らしながら歩くこと30分、ようやく瞑想センターに到着した。

既にたくさんの生徒が集まっていて談笑していたが、どこか緊張感が瞑想センターに漂っていた。生徒はインド人が25人程度、外国人が7人。p1110521プレハブ小屋でコース参加の手続きを行った。衣類や洗面用具以外すべての荷物を預け、ドミトリー部屋へ移動。

イギリス人2名、アメリカ人1名、スウェーデン人1名、そして私日本人の5人部屋だった。レーの瞑想センターにはシングルルームは無く、3〜5人のドミトリー部屋のみ

今晩は夕食後、瞑想ホールでアナパナ瞑想についてのオーディオを聞いた。オーディオやビデオはヴィッパサナ瞑想の在家指導者である故ゴエンカ氏が英語で瞑想について解説する。がっつり訛っているインド英語だが分かりやすいし、ポイントはしつこく説明される。

アナパナ瞑想では普段無意識に行われている呼吸をひたすら観察する。4日目の午後までアナパナ瞑想が行われ、その後ヴィッパサナ瞑想に切り替わる。いわば最初の4日間はヴィッパサナ瞑想を行うための準備期間に過ぎない。

これ以降、生徒同士の会話やアイコンタクトを含むあらゆる身体的接触を禁じられる。”聖なる沈黙”の幕開けだ。

1日目

p1110482(写真:ダンマホールと呼ばれる瞑想ホール)
朝4時、鐘の音とともに気持ちよく起床。目を覚ますために真っ暗な外を散歩した。30分後、2時間の瞑想が始まった。初日ということもあり、この日は新鮮な気持ちで瞑想ができた。

瞑想の時間はこの瞑想ホールで行われた。個人瞑想の時間はほとんど設けられていない。周りの人の咳や息が気になってしまうこともあるが、集団瞑想は忍耐を養うためにも必要とゴエンカ氏は語っていた。集団瞑想の方がかえって緊張感があってむしろ瞑想に集中できた。

2日目

p1110515(写真:最終日の朝ごはん)
アナパナ瞑想中は上唇の底辺と鼻の下を結んだ三角形のエリアに集中する。瞑想中にそのエリアに感じた感覚を2日に1回先生に報告する時間がある。この時は先生と会話が許される。

p1110517離れの大きめのプレハブで毎回食事をとる。壁に向かって食事をとり、自分で食器を洗う。

食事の内容
【朝食】チャイと果物とカレーまたは食パン等
【昼食】豆と野菜たっぷりのカレー、たまにビリヤニ
【ティーブレイク】チャイと果物とお菓子。

同じカレーでもバリエーションに富んでいて飽きないし、かなり美味しい。インド人にとっては辛さや味付けが物足りないかもしれないが、日本人には絶妙な味付けだった。

3日目

IMG20160903192237(写真:ビデオの中で瞑想について語るゴエンカ氏)
朝の瞑想が本当に辛い。眠気と空腹が同時に襲ってくるのだ。朝の瞑想は最終日まで地獄のように辛いままだった。昼食とティーブレイクの前の瞑想も空腹で集中力が切れるため辛い。周りの生徒も明らさまに集中力が切れ、そわそわし始める。

こんな日があと7日も続くのかと思うと憂鬱になる。ただ実際に逃げ出したくなるほどではなかった。既にインド人の生徒が3人去っていたが・・・

1日目から毎晩1時間程度のビデオを見る。ヒンディー語版は瞑想ホールで鑑賞、英語版はプレハブで鑑賞だった。ビデオの中でゴエンカ氏がヴィッパサナ瞑想やそのメリットなどを語る。ビデオは腹を抱えて笑うほど面白く、おっさんの漫談そのものだった。

4日目

p1110498(写真:10日目に撮影した星空)
この日の午後にヴィッパサナ瞑想に切り替わった。頭の頂点からつま先まで意識を順番に、ゆっくり移動していくというものだった。そして集中している部位の感覚を感じ取る。”Move your attention from head to feet, feet to head…”

夜のビデオ鑑賞後、外で出ると現実とは思えない光景が広がっていた。すべてが一番星のように輝く無数の星と肉眼でも見える天の川。私を含めた生徒たちはこの感動を口にすることができず、ただ呆然と星空を仰いでいた。

5日目

P1110534(写真:瞑想センターから見えた6130mのストク・カンリ)
1日10時間の瞑想をしていると足や腰が馬鹿になってくる。足が痛すぎて瞑想開始から15分で集中力が切れてしまう。感覚を先生に報告する時間では多くの生徒が痛みを訴えていた。体が柔らかい人が羨ましく思った。

特に瞑想中の姿勢は決まっていないが、基本は皆あぐらで瞑想をしている。坐禅を組む必要は全くない。疲れたら体操座りに切り替えても良い。足を延ばすことは許されていない。

集中力が切れた後の瞑想は本当に地獄だ。ただひたすら瞑想の終了を知らせる鐘がなるまで耐えるのみ。今まで生きていてこんなに1時間が長く感じることはなかった。

6日目

p1110446瞑想開始から30~40分を経つと集中力が切れる。惰性で瞑想を続けてしまっているため、余計に集中力が持たない。6日目にこんな掲示物が瞑想ホールの入り口に貼られた。

「強い決意:それは手や足を動かすことなく、また目を開けることなく好きな姿勢で1時間座ることを意味する。」

この時間は1日に3回設けられた。このおかげで1日の瞑想にメリハリがついて気合が入った。しかしどうしても途中で手を動かしてしまったり、目を開けてしまったりする。

7日目

P1110350(写真:ストクの村と山々)
徐々に瞑想が快楽になってきた。最初の15〜30分は瞑想が気持ちよすぎて永遠に瞑想ができるんじゃないか、と思ってしまうほどだった。しかし40分を過ぎたあたりで足の痛みと共に集中力が切れてしまう。

ヴィパッサナ瞑想をしていると普段気づかない感覚を感じ取ることができる。指先に血液の鼓動を感じたり、なぜか瞼の裏で光で点滅することもあった。ゴエンカ氏曰く、瞑想中に得られる感覚は人によって異なり、その感覚はどんなものにもなり得るという。

朝の瞑想を終え、食事を済ませると、またしても信じがたい光景が目前に広がっていた。谷間にあるストクの街から空に向かってハッキリとした7色の虹が出ていたのだ。もちろんそんな絶景が目の前にしても写真を撮ることはできないし、感動の言葉を発することはできない。

コース期間中はあらゆる娯楽が禁止されているため、自然の美しさに対して非常に敏感になる。天気や時間帯によって様相を変えるヒマラヤの美しさに魅了されていた。このヒマラヤの絶景は辛い瞑想生活を間違いなく支えてくれていた。

8日目

P1110460コースの終わりが見えてくるにつれて、精神的に楽になり瞑想が捗るようになってきた。最後の数十分は辛いが、基本的に瞑想が気持ちよく感じる。

瞑想中は自分が瞑想をしているということも忘れて、瞑想に入り込んでしまう。瞑想中に首から下の感覚がなくなってしまうこともあった。自分がどう足を組んでいるのかわからないという感覚に陥った。

瞑想センターには3日に1回くらいなぜか現れる犬がいる。虫がたかっていて汚いが、人懐っこいキュートな犬だった。

9日目

p1110452翌日に会話禁止令が解除されるため、実質最終日のようなものだ。より一層瞑想に気合が入る。瞑想がどんどん快楽に変わっていく。「Strong Determinaton」の時間は多少の苦痛を感じながらも、一切足や手を動かさずに瞑想ができるようになっていた。

毎回食事の後には1時間ほど休憩時間がある。寝たり、散歩したり、石で遊んだりするしかない。誰かが石で文字を書いていた。うつむいて散歩している姿を客観的に見るとヤバい宗教団体の施設に見えて笑えてくる。

10日目

IMG20160904072443午前10時、会話禁止令が解除された。その途端、皆がものすごい笑顔でベラベラしゃべりだす。「Nice to meet you, finally」と同じ部屋だったイギリス人に言われ思わず笑ってしまった。

10日間一緒に生活していた仲間と初めて会話するのは不思議な感覚だった。最高にピースフルな時間が流れていた。

預けた荷物も返却され、携帯電話の使用も許可された。早朝の瞑想も含めてこの日の瞑想は5時間のみ。楽勝だ。

11日目

img20160903174410いよいよ解散の日がやってきた。朝にゴエンカ氏のビデオを鑑賞し、1時間の瞑想を行った。この日も最高に楽しい時間が流れ、皆んなで集合写真を撮ったり、瞑想の感想などを共有しあった。

朝食を取った後、刑務所で行われたヴィパッサナ瞑想についてのドキュメンタリー映像を生徒全員で鑑賞した。映像の中で囚人が「ヴィパッサナ瞑想は刑務所の生活よりも辛いぜ」と発言するとドッと笑いが起きた。

ヴィパッサナ瞑想は寄付によって運営されている。私はコース終了時に1000ルピー(約1600円)を寄付した。宿とご飯込みで1日100ルピー(160円)以下で過ごせたと思うと、申し訳ないくらい安いと思う。

ヴィッパサナ瞑想で人生は変わったのか?

ヴィッパサナ瞑想のおかげで人生が劇的に変わった、とは言い切れないが、少しは変わった気がする。正確に言うと、コース終了後も瞑想を続けることによって、今後人生が変わっていく(良くなっていく)気がした。

実際にゴエンカ氏もビデオの中で「10日目のコースを経験したくらいで劇的に何かが変わることがなく、コース終了後も毎日瞑想を続けていくことで少しずつ変わっていく。」と発言していた。

ヴィパッサナ瞑想の効果は一般的に日常生活においてのストレス軽減や冷静に物事を対処できる力を養うこと、と言われているが、私が一番感じたのは物事に対してフラットな姿勢で思考する力がついたこと。ひたすら自分の感覚を追い求めた10日間を通して、頭がリセットされた気分だ。

これだけ瞑想漬けの生活を経験すれば、日常に1日1時間程度の瞑想を取り入れることは容易になった。瞑想の習慣が身につくというのもこのコースのメリットだ。

10日間のコースは人生で一番辛い経験だったが、どういうわけかまた異国の地で10日間のコースを受けたいと思う。リピーターがいる理由がなんとなくわかった。

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