インドまとめ

インドの"面白い"を伝えるウェブメディア

話題の踊らないインド映画?『裁き』を観に行ってきた。

話題の踊らないインド映画?『裁き』を観に行ってきた。

2017年7月8日(土)に日本で公開したインド映画『裁き』を初日に渋谷ユーロスペースで鑑賞しましたので、その感想を取り急ぎリポートします!!上映後の裁判傍聴芸人の阿蘇山大噴火さんのトークショーにも参加してきました!

『裁き』・・・一言で表すと実に「リアルな映画」です!

シヴァ

私はこの映画に出演しているかしら?

『裁き』基本情報

原題:Court
監督:チャイタニヤ・タームネー
公開年:2014年
製作国:インド
上映時間:114分
言語:ヒンディー語、英語、マラティー語、グジャラート語
受賞歴:ヴェネチア国際映画祭ルイジ・デ・ラウレンティス賞、アカデミー賞外国語映画賞インド代表など10以上

【あらすじ】ある下水清掃人の死体が、ムンバイのマンホールの中で発見された。ほどなく、年老いた民謡歌手カンブレが逮捕される。彼の扇動的な歌が、下水清掃人を自殺へと駆り立てたという容疑だった。不条理にも被告人となった彼の裁判が下級裁判所で始まる。理論的で人権を尊重する若手弁護士、100年以上前の法律を持ち出して刑の確定を急ぐ検察官、何とか公正に事を運ぼうとする裁判官、そして偽証をする目撃者や無関心な被害者の未亡人といった証人たち。インドの複雑な社会環境の中で、階級、宗教、言語、民族など、あらゆる面で異なる世界に身を置いている彼らの個人的な生活と、法廷の中での一つの裁きが多層に重なっていき…(by 公式サイト)

『裁き』は踊らない、歌わないインド映画?

スクリーンショット 2017-07-09 15.39.10日本で公開されるインド映画って突然踊って歌って陽気な映画が多いから、私たち日本人は「インド映画=歌って踊る」みたいな考えがどうしてもあると思います。実際に本国インドでもそのようなボリウッド映画がメジャーなので、ごく当たり前のことなんですけどね。

そして今回公開された『裁き』にも踊りも歌のシーンがあるのですが、従来のボリウッドとは歌や踊りの演出方法が異なります。『裁き』の中では踊りや歌が必然的に行われているのです。つまり映画の中で行われていること全てがリアルなんです!

「実際の裁判はドラマチックじゃない。」

cof
上映後のトークショー(左:芸人の阿蘇山大噴火さん)

平日は毎日欠かさず東京地裁に足を運んでいる裁判傍聴芸人の阿蘇山大噴火さん曰く、現実の裁判は淡々と行われているため、映画やドラマの中の裁判はほとんど誇張されたもの、とおっしゃっていました。

それに対して『裁き』ではリアルな裁判の演出がされており、非常に地味なシーンになっています。しかし観ていて退屈と感じることはなく、次々と裁判が流れ作業のように行われるインドの裁判は私たちの目には新鮮に映ります。

『裁き』は単なる法廷ドラマではない!

スクリーンショット 2017-07-09 15.40.25この映画は単なる法廷ドラマではありません。おそらく裁判シーンは上映時間の半分もありません。その他の時間は被告人や弁護士、検察、裁判官のプライベートの生活にスポットを当てています。裁判の進行には関係ない各人の私生活をリアルに描いているのが、この映画の面白さではないでしょうか。

複雑なインドをそのまま描く。弁護士がスーパーでワインとチーズを購入し、車でジャズを聴きながら帰宅する。各人の私生活を観ることによって、インドの複雑な生活様式やカーストが眺めることができます。

インド人同士でも言葉が通じない?

公用語のヒンディー語は1部の地域でしか話されていない。
ヒンディー語=公用語、英語=準公用語(Image北の国から猫と二人で想う事)

被告人が裁判官に向かってマラティー語で話していると、弁護士が「英語かヒンディー語で話してくれ」と訴えるシーンがあります。一体どういうこと何でしょうか。

マラティー語はマハラシュトラ州(ムンバイが州都)で話されている言語です。マラティー語はヒンディー語と表記が同じで文法も似ているものの、一部の地域でしか話されていないので、マラティー語のネイティブではない弁護人は困惑したのでしょう。

インドでは30種類近くの異なる言語が話されており、出身が違うとインド人同士でもコミュニケーションが取れない事態が往々にして発生します。公用語であるヒンディー語も一部地域でしか話されていないため、インド人の共通言語は準公用語である英語となることが多いのです。実際にインドへ行くと、インド人同士が当たり前のように英語で会話しています。

首を降るとYES、首を降ってもNO

スクリーンショット 2017-07-09 15.39.16映画の中で、事件で死亡した男性の妻が証人として召喚されて、裁判所で検察と弁護士に質問されるシーンがあります。インド人はYESの時に首を降って回答します。NOの時も首を振ります。

私自身はインドに長く住んでいたので、首の振り方で判断できますが、初めて観る人はとても面白く見えるでしょう。インド映画を観る際はインド人の仕草にも注目すると面白いですよ!

カメラワークの素晴らしさも魅力的。

スクリーンショット 2017-07-09 16.03.28映画の中でカメラはフィックスしていて、ほとんど動きません。カメラを動せば臨場感を観る物に与えますが、客観性を欠いてしまいます。リアルさを追求したいからこそ、あえてカメラを固定させているのだと私は思いました。

演者の導線を意識した固定されたカメラワークは無駄がありません。それにも関わらず退屈に感じることは一切ありませんでした。僕がインドを好きすぎるからでしょうか。おそらくそれが大きな理由かもしれません。ありのままのインドの現代社会を目撃できたのが嬉しく思っています。

終わりに

mde
渋谷ユーロスペースで紅茶をもらった。

インドが好きな人も、映画が好きな人も多くの人におすすめできる作品です。

陽気なボリウッド映画も面白いですが、もっと国際映画祭で受賞するようなインド映画がこれからも生まれること、そして日本でも配給されることを祈っています!ナマステ!

シヴァ

私の登場シーンはなかったけど、いい映画だったわ!!

リンク:『裁き』公式ホームページ

関連記事

1-k早稲田松竹にてインド映画の巨匠サタジット・レイ監督特集
(by 早稲田松竹チラシギャラリー)
早稲田松竹クラシックスvol.108
サタジット・レイ監督特集
名画座のひとつである早稲田松竹にて…
【Baraka】制作費2億円!衝撃の映像美でインドを映し出すドキュメンタリー映画【Baraka】制作費2億円!衝撃的な映像美のドキュメンタリー映画
今回は日本ではほとんど知られていない映画『Baraka』の紹介とレビューします!映画を年間100本程度嗜む私が今年に最も衝撃を受けた映画…

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

COMMENT ON FACEBOOK

Return Top